
食事、入浴、排泄など、入所者さんが日常生活のなかで自分ひとりではできないことや、大変に感じていることを手助けすることが仕事です。

気をつけていることは、すぐに手を貸すのではなく、その方に残っている力をきちんと見極めること。ご自身で解決する力が残っている方には、その力をうまく発揮してもらえるような援助を心がけています。
入所者さんとコミュニケーションを図ることも、大事な仕事です。どんなことを望まれているのか、言葉だけでなく、行動や表情から“感じとる”ことが大切だと思っています。
実をいうと、高校3年で進路を決めるときまで、福祉や介護にはまったく興味がなかったんです。福祉の道に進むきっかけになったのは、担任の先生に「何が向いてますかねぇ?」と冗談半分に聞いたときに返ってきた、「福祉なんてどう?」という答え。大学はもともと選択肢のひとつとして考えていた保育士の資格も得られるところを選びましたが、日々の勉強や実習を通して、介護に向かう気持ちがだんだん強くなっていきました。親戚に介護施設を利用する者がいたことも、介護の仕事を身近に感じさせてくれたと思います。
今の職場を選んだのも、はじめは「自分に合うかもしれないな」という漠然とした印象から。ガイダンスで事務長の話を聞いて、まずは見学させてもらいました。それほど多くの施設を見学したわけではありませんが、入所者さんと介護士さんの関係が、一番家族的に感じられたことが決め手になりました。


よく「夜勤、大変でしょう?」といわれます。確かにはじめは夜勤が一人だとは知らず、先輩についているときは「30人の入所者さんをみるなんて絶対ムリ!」と思っていました。今でも夜勤のときは日勤にはない緊張感がありますが、1日、1ヶ月、1年とやっていくうちに、自分なりのやり方やリズムができてきたように思います。自分でどうにもならないときは、先生(医師)に相談したり、看護師さんに協力をお願いしています。正直、大変な仕事が重なる日もありますが、「きょうは運がなかったな」くらいに考えて、自分にできることをしっかりやることを心がけています。
一番難しいなと感じるのは、お一人お一人異なる性格や体の状態への対応。やはり相手が「人」なので、入所されてすぐのうちは、どうしても「ちょっと合わないなぁ」と感じてしまうこともあるんです。けれど入所者さんはこちらの精神状態を敏感に感じて、反応はさらにいいものではなくなってしまいます。できるだけ感情的にならないように、そして思い返して「あのときの対応はまずかったなぁ」と思ったときは、それを心に置いて接するようにしています。
私たちがやっていること自体は、たいしたことではないと思うんです。それなのに「ありがとね」「助かったよ」と入所者さんやご家族に感謝してもらえる。それは本当にうれしいですし、大きな充実感を感じる瞬間です。
実は、この仕事に就く際に、父から「大変ならいつやめてもいいからな」といわれたんです。父は介護が必要だった親類の姿をみて、介護の大変さを知っていたんですね。そんな父の介護の仕事に抱いているイメージをいい意味で裏切りたい、という思いが、仕事へのモチベーションのひとつになっています。
仕事の流れは、だいたい毎日一緒なのですが、入所者さんの状態は日々変化しますし、関わり方も変えていかなくてはなりません。また介護士である私たちにはできることに眼界があって、どうすることもできないもどかしさを感じる場面もたくさんあります。
この仕事をはじめてようやく3年、とにかく毎日が勉強です。5年先、10年先を考える余裕はとてもありませんが、日々の業務の中で課題を見つけ、それをひとつひとつクリアしていくことで、1日1日、少しずつでも成長していけたらと思っています。


